タルシラは、サンパウロ州出身の女性画家(1886-1973)。今回の展示会は、「旅」を切り口に、彼女が活躍した1920年から1931年の作品を集めたものでした。
おそらく彼女の作品の中で最も有名な、「人喰い(Abaporu)」(1928)もありました。これは、夫のオズワルド・デ・アンドラーデ(Oswald de Andrade)の誕生日に贈った作品だそうです。この作品がきっかけとなり、オズワルドは「喰人宣言」を発表。「ヨーロッパ文化を真似るのではなく(喰らって消化し)ブラジル独自の形にする」といったムーブメント(Movimento Antropofágico)へと発展します。なお、この作品のタイトルは、「倒した敵の力を吸収するためにその肉を喰らう」と言われているブラジルの先住民、トゥピ族の言葉で付けられています。
しかし・・・彼女の作品の解説は、「自分でもどうしてだか分からないけれど、すっごいモンスターを描いちゃったのよ。多分、子供の頃、カフェ農園で黒人たちに聞いた足の大きい妖怪の話が潜在意識にあったからだと思うけど・・・」てなもの。夫の誕生日にそんな本人が不気味でたまらない、ってものあげなくても・・・という気もしますが。あ、後に2人は別れてます。
でも、その作品が彼をものすごく触発して、しかも20 世紀ブラジル文化のキーワードにまでなったというのですから・・・凡人の感覚をアーティストに当てはめるなってことですかね。
他にも、旅先、パリとかモスクワのスケッチとかがありました。下記、私の好きだった絵を何枚か・・・。(画像はオフィシャルサイトより。)
"Paisagem com touro(雄牛のいる風景)"(1925)
"A Lua (月)" (1928)
ピナコテカの常設展には、MASPで盗難があったカンジド・ポルチナリ(Candido Portinari)の作品、「メスチソ(Mestico)」もあります。そういえば、私が日本にいる間にMASPの盗難事件は解決されたようですね。盗みも早かったけど、捕まるのも早いっ!戻った作品は、セキュリティ強化の上、既にMASPで公開されているのそうです。
そうそう、今回久しぶりに地下鉄で出かけたのですが、ピナコテカの最寄り駅、LUZもなかなか素敵でした。せっかくなのでその写真を・・・。それでは、また。
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