2014年9月2日火曜日

中南米裏千家茶道布教60周年:日伯友好・平和祈念献茶式並びに和合の茶会

8月30日土曜日午前10時から、バンデランテス宮殿にて、日伯友好・平和祈念献茶式並びに和合の茶会が開催されました。


会場がサンパウロ州の政庁・州知事官邸のバンデランテス宮殿だけに、周りに「アルキミン州知事によろしく〜」なんて言われましたが、選挙前ということで、州知事はいませんでした。
しっかし、「パラシオ(宮殿)」と呼ばれるだけあって、ステキな会場です。ブラジルの国花、黄色いイペーも満開で、青空に映えていました。


この大会、なんといっても大正12年生まれ、今年で91歳になられる千玄室大宗匠のお点前を生で拝見できる&講演を聴ける、ということがハイライト。

開会の辞、列席者登壇、両国国歌斉唱(それぞれ歌手がいました) を経て、いよいよ「献茶の儀」。大宗匠が、「キリスト教の神父がミサで器物を清めるのと同様の意義を持つ」と話す「特別な儀式専用」の白い袱紗を用いて、約1000人という来場者が一挙一動を見守るなか、お茶を点てました。そのお茶は、日伯の旗の下に、両国の友好を祈願して捧げられました。





続いて、和合の茶会。今度は、紫の袱紗でお点前です。





梅田大使や福嶌総領事、メキシコ、アルゼンチン、ペルー淡交会会長、州議会議員らが、濃茶を回し飲みました。大宗匠は、「お茶は濃いめになっていて、お腹にいいんですよ〜」とか「みんなで回し呑むことで和を体現できますよ・・・」「お菓子の銘によく使われる『昔』の文字は分解すると、二十日となり・・・(すいません、よく聞き取れなかったのです)」など、列席者の緊張をほぐすような、お話をされていました。

続いて記念式典、表彰式。中南米でお茶を教えていて、大宗匠自らに功労を称えられるのは、すごく名誉で貴重ことですよね。

それから講演会と茶道デモンストレーション。

これも贅沢な計らいです。

講演会のお話ですが、
「私が育った背景は面白いのです。同志社に学んだため、外では賛美歌を歌い「アーメン」とか唱える一方、代々禅宗の一家に育ち、家では木魚を叩くのが、日常でした・・・」

 「イエズス会の宣教師ジョアン・ロドリゲスが記した『日本教会史』を読んだら、3分の1が日本の茶道文化についてで、『千利休が京都で茶の世界を仕切っているから、彼の協力を得て茶会に参加し、布教に役立てよ』的なことが書かれていて驚いた・・・」

 などという、キリスト教に触れる意外なお話から、「茶室には、身分の差もない。神と仏もが一緒になる場所」だと説明。

また、「清らかな善人面していても、本当の善人など、ほとんどいない」と聴衆を笑わせた後、「茶道は、 心を清らかにしていく道」だと語りました。
それは、キリスト教の「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。」にも通じ、また仏教の「無」、きれいに生まれた人の心の中にも垢や塵がたまっていくが、その「塵を払い垢を除く」教えにも通じる、と話していました。

さすが 「『一碗からピースフルネスを』の理念を提唱し、国際的な視野で茶道文化の浸透と世界平和を願い各国を訪問」し、「ユネスコ親善大使、日本・国連親善大使なども務める(パンフレット、プロフィールより)」大宗匠、日本の文化だけに留まらない、キリスト教国ブラジルの人々に向けた講演です・・・。

「和敬清寂」の言葉をブラジルの大統領にお話しした、ともおっしゃっていましたが、茶道がブラジルでも大きな役割を果たせる、というお話も説得力がありました。すごいオーラ。



・・・91歳なんて信じられない!何と言っても「コーヒーもいいけど、お茶を召し上がって下さい。こーんな元気になりますよ!」と、ピンと伸びた背筋で大きく胸を叩いて言われると、これこそ、すごい説得力がありましたよ。

 いやあ、日本人として誇らしい限りです。はい。

講演、デモンストレーションの後は、Hall Nobreでカクテルレセプション。さすがにお抹茶はありませんでしたが・・・。

レセプションが行われたホール

サンパウロ出身のアーティスト、アントニオ・エンリケ・アマラル(Antonio Henrique Amaral)の壁一面の作品"Sao Paulo - Brasil: criacao, expancao, e desenvolvimento (1989) "が、ステキ。他にも、ブラジルを代表するアーティストの作品がたくさんありました。一見の価値はあると思います。一般にも開放しているようなので、お時間ありましたら、どうぞ。

Palácio dos Bandeirantes

End.: Av. Morumbi, 4.500 – Portão 2 – Morumbi
Horários: terça a domingo, das 10h às 17h (de hora em hora)
Tel.: (11) 2193-8282
Preço: Entrada franca(無料)

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